駆除至難害虫・ベッドバグへの対処法はあるのか?
ベッドバグは、トコジラミや南京虫とも呼ばれる、吸血性昆虫の一種です。
名前からも分かる通り、主に寝室に巣を作って、睡眠中の人を狙って血を吸いにやってきます。 2000年代には主にアメリカやヨーロッパで問題視されていた害虫ですが、2010年代に入り、外国人旅行者が増加したことなどから、日本でも徐々に被害が拡大。
ノミやダニ、ゴキブリのような、身の回りにいる害虫の一種となりつつあります。知識を持たないでいると、いつの間にか大繁殖を許してしまう可能性も。 このページでは、そんなベッドバグの基本知識や、対処法について解説していきます。
ベッドバグには殺虫剤が効かない?
ベッドバグに吸血されても、命に関わる可能性は低いです。現在のところ、感染症を媒介したという事例もありません。
ただ、激しい痒みを覚えること。刺されるかもしれないという不安から、不眠症になる人も少なからずいることなどが、懸念材料とされます。
しかも厄介なのが、市販の殺虫剤のほとんどが効きづらいという点です。
実はベッドバグは、1970年代に一度その数を激減させました。ピレスロイド系と呼ばれる効果的な殺虫成分が普及したことが理由でしたが、その後ベッドバグは、ピレスロイド系の薬剤に対して遺伝的な耐性を獲得。
元々の繁殖力も手伝って、世界中で数を増やしているという背景があります。
すべてのベッドバグが同じ耐性を持っているわけではありませんが、現在日本で被害を出している集団の9割近くに、ピレスロイド剤に対して抵抗性を示す遺伝子が確認されているとのことです。
効果が見込める対処法はあるのか
繁殖してしまったベッドバグに対処する場合、ピレスロイド系以外の殺虫成分を含む薬剤を使うというのが、主な方法となります。
駆除効果が確認されているのは、有機リン系、またはカーバメート系の薬剤。一部では、この2系統にすら耐性を持っている集団が確認されていますが、少なくともピレスロイド系の薬剤よりは、効果が見込めるはずです。
注意したい殺虫剤の効果・効能の表記
市販されている薬剤の中には、効果・効能の欄に、「トコジラミ(=ベッドバグ)の駆除」と記載されているものが多くあります。
以前は、ゴキブリへの効果が確認されている製品であれば、自動的にベッドバグも駆除可能なものとして承認されていました。当時はまだ、薬剤に対する遺伝的抵抗性がなかったからです。
しかし、そうした製品の中には、現在は効果がほとんど望めないものも少なくありません。薬剤を購入する際は、効果効能ではなく、含まれている成分に着目することが大切です。
自分で駆除を考えるときの注意点
確かに、有機リン系、カーバメート系の薬剤には、ベッドバグを駆除する効果があります。
ただそうした薬剤は医薬品として扱われ、薬局でしか扱われていません。数が限られている上、水で薄めて使用(カーバメート系薬剤を含むエアゾール剤を除く)しなければならないなど、手間が掛かります。
また、薬剤の扱いに関する知識に加え、ベッドバグがどこに潜んでいるのかを的確に見つけ出す技術も必要です。効果が見込めると言っても、虫の体全体に薬剤を掛けないと、殺虫作用が半減する可能性があるからです。
そのため、相応の専門知識を持っているのでない限り、害虫駆除業者を頼るのが無難です。
最大の対処方法は予防すること
ベッドバグは、一度繁殖すると自力での駆除が困難です。
そのため、侵入を防ぐことが何よりも重要。旅行や出張で外泊するときは、寝室に不審な点がないか丁寧に確認しましょう。 ベッドバグが繁殖している場合、以下のような事項がサインとなります。
- ベッド周辺で深呼吸をした時に、甘いような、カビ臭いような匂いがする
- シーツに血の痕がある
- 寝具周辺に、カメムシのような抜け殻が落ちている
- 寝具周辺や壁紙などに、インクを垂らしたような黒くて小さなシミがある
また、外泊から自宅に帰るときは、カバンや靴、衣類に卵を生み付けられていないか、入念に確認するようにしてください。
ベッドバグは、まさかここに、と思うような小さな隙間にも当たり前のように入り込みます。 確認しすぎるくらいでちょうど良い、ということは知っておくと良いでしょう。