重曹がトコジラミに効く?押さえておきたい嘘・ホント
トコジラミは、自力での駆除が難しい害虫として知られています。
1970年代に根絶寸前までいったものの、ピレスロイド系と呼ばれる殺虫成分(市販の殺虫剤のほとんどに含まれる成分)に対して遺伝的耐性を獲得。世界的に被害を拡大し、日本でも、ほとんどの個体がその特性を獲得したものに置き換わりつつあります。
そんなトコジラミをDIYで駆除する方法として、まことしやかに囁かれる重曹を使った対策。果たして本当に殺虫効果が見込めるのか、解説してみたいと思います。
重曹がトコジラミの駆除に効果的とされる理由
重曹は、重炭酸ナトリウムと呼ばれる塩化化合物です。名前は物々しいですが、料理やお掃除で使われることも多く、家庭に常備している人も少なくありません。
人が食べても、肌に触れても何のトラブルも起こさないこの重曹が、なぜトコジラミを駆除するのに役立つと考えられているのでしょうか。
その理由としてよく挙げられるのは、主に以下の3つです。
体内で分解された際に発生するガスで破裂する
重曹は熱によって、水、二酸化炭素、炭酸ナトリウムに分解されます。
トコジラミを始めとする害虫の体内に重曹が入ると、この分解によって消化管に二酸化炭素が放出され、やがて内側から破裂。死亡するのではないかと考えられています。
鋭い結晶が外骨格を傷つける
重曹の結晶は、ミクロのレベルでは非常に鋭いものです。
この中を害虫が動き回ると、外骨格、特に柔らかい下腹部に傷がつき、そのダメージが蓄積して死に至るのではないかと考えられています。
水分を吸い取る
重曹は塩分を含んでおり、消臭剤や除湿剤としても使われます。
害虫が重曹に触れると、その体からも水分を吸い取ってしまうため、脱水症状によって死亡、ないし弱体化させることが見込めます。
重曹にはトコジラミを殺す作用が見込めるのか?
結論から言えば、重曹でトコジラミを駆除するのは、不可能とは言わないまでも非常に難しいと考えられます。
まず重曹を食べたトコジラミや害虫の体内で二酸化炭素が発生し、体が破裂する、という説ですが、そもそもトコジラミは血液以外を摂取しません。物理的には可能性があるかもしれませんが、トコジラミの口の大きさや栄養源が血液のみであることを考えると、その効果は疑わしいと言わざるを得ないでしょう。
また、重曹の鋭い粒子がトコジラミの体に傷をつける、という説ですが、外骨格に傷が付いたからと言って、死亡するほどのダメージが蓄積することはほとんど考えられません。重曹であろうとガラスの破片であろうと、トコジラミが活動を停止するほどのダメージを与えることは難しいでしょう。
脱水に関しては、重曹で体がすっかり埋もれるほどであれば、効果が見込めるかもしれません。ただ、周辺に撒いておく程度では、やはり駆除することは難しいと考えられます。
そもそもトコジラミはどこからくるの?
ダニやノミ、ゴキブリなどの害虫と違い、トコジラミは家が散らかっていたり、掃除をしていなかったりしたことで現れるわけではありません。
トコジラミは、主に外出先や旅行先から自宅へ持ち込まれ、家の中で繁殖して大量発生してしまうのです。
特に多いのが海外旅行先のホテルなどにいたトコジラミが、衣類や荷物に付着してそのまま家に持ち帰ってしまう例。また、ネット通販などで海外届いた荷物に潜んでいる場合もあります。トコジラミはとても小さいため、被害が出てからでないと存在に気付きにくいのです。
繁殖力が強い上に、殺虫剤に耐性を持つ個体がほとんどであるトコジラミ。一度大量発生してしまうと、ご自身で駆除するのは至難の業です。被害を防ぐためには、家の中に持ち込まないよう注意するのが一番の予防方法です。
重曹で駆除・予防ができる虫とは
重曹は、トコジラミ以外の虫の駆除であれば効果的です。以下のような虫がご家庭で発生した場合は、ぜひ重曹による対策を試してみてください。
アリ
暖かい季節になると、家の中に侵入しているアリを見かけることが増えます。大量に発生している場合は、家の中に巣が作られている可能性もあるため注意が必要です。
アリが重曹を食べると、体内にあるギ酸と重曹の炭酸水素ナトリウムが科学反応を起こし、水と二酸化炭素が発生。最終的に死滅してしまいます。
ただし、重曹だけではアリが食べてくれない可能性があるため、好物である砂糖を混ぜておくのがおすすめ。重曹と砂糖を混ぜてアリの巣や大量発生している近くに置いておけば、簡単に駆除できます。
ゴキブリ
重曹は、炭酸の原料としても知られています。人間は炭酸を飲んで胃に溜まったガスを、ゲップによって抜くことができます。しかし、ゴキブリはガスを抜くことができないため、重曹を食べることで内臓が破裂して死んでしまうのです。
アリと同じように、重曹と砂糖を混ぜてゴキブリが出やすいところに置いておきましょう。無味無臭の重曹だけではゴキブリは食べてくれませんが、重曹単体で撒いても、ゴキブリの体に付着すればそれを食べて死に至らせることが可能です。
アブラムシ
観葉植物や家庭菜園の天敵となるアブラムシ。大切に育てていた植物や野菜にいつの間にか大量発生していたという経験がある方も少なくないでしょう。
大量に発生すると、見た目にも気持ち悪いことはもちろん、植物の発育に影響を及ぼすため、できるだけ早く駆除したいものです。
重曹は、アブラムシの駆除や予防に効果的。アブラムシが発生している植物に、重曹とサラダ油、水、食器用洗剤を混ぜた重曹スプレーを霧吹きで吹きかければ、しばらくすると窒息して死滅します。
死滅して地面やプランターに落ちたアブラムシを放置していると、他の虫が寄ってくる可能性があります。重曹水スプレーを吹きかける際は、下に新聞紙などを敷いて駆除後はすぐに片付けましょう。
コバエ
特にキッチンに出やすいコバエ。毎日きちんと掃除をしていても突然現れて、いつの間にか1匹が2匹に、2匹が3匹にと、どんどん数が増えていくことがあります。
コバエの駆除には、重曹を使った掃除がおすすめです。重曹と水を混ぜ合わせた重曹水でキッチンを掃除すると、油汚れをすっきりと落とし、コバエのエサとなる排水口のぬめりもキレイになります。
またコバエはハッカのにおいが苦手。コバエが現れたところに、重曹と水、ハッカ油を混ぜたハッカ油スプレーを吹きかけておくと、コバエの発生を防ぐことができます。
トコジラミの駆除は早期に専門家に相談することが大切
コバエやゴキブリなどの身近な害虫であれば、重曹に限らず殺虫剤などで比較的簡単に駆除できるでしょう。
しかしトコジラミは、一度繁殖されるとDIYで対処するのは難しいものがあります。被害を最小限に食い止めるためには、やはり害虫駆除の専門家を頼ることが一番です。
戸建てであれば、まだ自分たちが苦しむだけで済みます。しかしマンションやアパート、宿泊施設などの場合は、影響が自分たちだけに留まらないリスクが。
拡大すればするほど、対処に掛かる時間もコストも大きくなります。トコジラミはただの害虫ではない、ということを肝に銘じ、可能な限り迅速に対処することをおすすめします。
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