トコジラミは自分で駆除できる?知っておきたい嘘・ホント
トコジラミという名前から想像すると、布団やベッドに住むシラミの一種のように思われるかもしれません。
人に寄生し血を吸う点は共通していますが、トコジラミはカメムシの仲間で、シラミより大きく、形も扁平です。また、シラミは比較的簡単に自分で駆除することができる一方、トコジラミは個体の多くが殺虫剤に対して遺伝的耐性を獲得しており、DIYでの駆除は簡単ではありません。
本ページでは、トコジラミを自分で駆除できるのかどうか。またその場合、どういった手段が効果的と言えるのかについて、解説してみたいと多います。
トコジラミを自分で駆除するのは難しい
結論から言えば、トコジラミを自分で駆除するのは簡単ではありません。
もちろん不可能ではありませんが、相応のリスクを伴います。というのも、現在日本で問題視されているトコジラミの多くは、日用品店などで扱われるピレスロイド系の殺虫剤に対して、強い抵抗性を持っているからです。
その抵抗性は、旧来のトコジラミと比べて1,000倍(地域によっては1万倍以上)と推定されており、世代を跨ぐにつれて数も増え続けています。
ダニやノミ、ゴキブリなどと同じ感覚で殺虫剤を使うと、拡散して被害が広がってしまうことになりかねません。
また、被害が自宅で収まっていればまだ良いのですが、宿泊施設やマンション、アパートなど、部屋が密集している環境では近隣への影響も懸念されます。
専門知識や装備がない状況で、自分だけでトコジラミの駆除を行うのは、間違いなく避けた方が良いでしょう。
どうしても自分で駆除したい時に考えられる方法
トコジラミが種全体で耐性を獲得しつつあるのは、ピレスロイド系に分類される殺虫剤です。
そのためこれとは別の系統に属する、有機リン系やカーバーメート系の殺虫剤であれば、トコジラミにも相応の効力が見込めます。
ただ、これらの殺虫剤は医薬品として承認されており、薬局でしか購入できません。また、購入できる製品の種類も限られています。
仮に購入できたとしても、水で希釈したり、専用の噴霧器を使わなければならなかったり、手間も費用も掛かります。カーバメート系のエアゾール剤であればそのまま使えますが、トコジラミを確実に駆除するには、体全体が濡れるほど多量に使う必要があります。
決して手軽にはできません。
また、巣や卵の位置を正確に把握して適切な処理を行わないと、効果がないどころか前述のように被害の拡大を招く恐れがあります。
よほどの事情がない限り、害虫駆除業者に相談した方が、お金も時間も節約することができるはずです。
効果・効能にトコジラミが書かれている市販剤は効果があるか
市販の殺虫剤や燻煙剤の中には、効果・効能の欄にトコジラミと書かれているものがあります。
注意してほしいのが、製品が販売された時期です。薬事法に基づく承認申請を行う際、以前はゴキブリに対する効果が確認できれば、トコジラミも併記することができました。
当時の承認は現在も生きており、表記もそのままになっているケースがほとんどです。
ピレスロイド剤に対して遺伝的耐性を持つトコジラミが日本で増え始めたのは2010年代ですから、まだ実態が追いついていない状況と言えます。
繰り返しになりますが、たとえ効果・効能の欄にトコジラミの記載があったとしても、ピレスロイド系の製品であれば効果が見込めない可能性が高い、ということは知っておくと良いでしょう。
高温処理や掃除機は効果がないのか
インターネット上には、トコジラミを自分で駆除するためのノウハウを紹介した記事が数多く見られます。
中でも多いのは、殺虫剤や高温処理、掃除機を使ったもの。
市販の殺虫剤はほとんど効果が望めませんが、高温スチームや掃除機はどうなのでしょうか。
まず高温処理ですが、こちらはトコジラミの巣を確認できている状況であれば、拡散防止処理や高温スチーム機器など十分な準備をすることで駆除することはできるでしょう。
物理的なアプローチですから、自分でできる方法としては最も確実な駆除方法と言えます。
ただ適当に処理をすると卵や個体を駆除しきれず、別の場所で繁殖される恐れがあり、やはりおすすめはできません。
また、掃除機で吸う方法についてですが、こちらは個体は吸い込めても、卵まで確実に駆除できるとは限りません。掃除機で個体を吸ってから、巣となった場所に熱湯処理を施すなど工夫が必要です。
とはいえこちらも、掃除機から逃げられたり、卵を駆除しきれない可能性が拭えません。
原則としては、害虫駆除の専門業者。もし信用できる業者を見つけるのが難しければ、身近な保健福祉センターに相談されることをおすすめします。