一時期はいなくなったトコジラミの被害が急増している理由
寝具や家具の隙間、部屋の隅などに生息するトコジラミ。別名「南京虫(ナンキンムシ)」とも呼ばれる害虫です。
このトコジラミ、実は戦後には一度日本からいなくなったとといわれている時期があるのです。
トコジラミが再発している理由や、被害を最小限に抑える方法などを詳しくご紹介します。
戦後、トコジラミはいなくなった?
実はトコジラミは戦前まで、ゴキブリやノミ、ダニなどと同じように人の身近なところに生息している害虫でした。しかし戦争が終わり、強力な殺虫剤が出回ったり、日本人の生活環境が改善されたことによって、トコジラミの数はどんどん減っていったのです。
1970年代頃には、日本ではトコジラミがほとんど見られなくなり、被害も少なくなりました。
最近トコジラミが急増している理由
一時期は日本からいなくなったと思われたトコジラミですが、ここ最近また被害が急増しています。
その理由は、海外と日本との行き来がしやすくなり、海外から旅行に来る人、海外へ旅行に行く人が増えたこと。海外からの旅行者や帰国者のスーツケースや手荷物、衣類などに付着したままトコジラミが国内に持ち込まれてしまい、それが日本で繁殖してしまっているのです。
最近は殺虫剤などの薬剤に抵抗性を持つ「スーパートコジラミ」も現れ、日本の幅広いエリアで頭を抱えている人が多くいます。
かゆみや発疹だけじゃないトコジラミの被害とは
トコジラミは、人間やペットを吸血して生息します。吸血の際、血液が固まるのを防ぐために唾液を注入。この唾液によって体はアレルギー反応を引き起こして、激しいかゆみや発疹などが現れます。
初めて刺された時はアレルギー反応が出ないため、かゆみはありません。しかし何度も刺され続けているうちに、かゆみが出るようになり、夜も眠れないほどの症状となってしまう人もいます。
これらの症状のほか、ホテルや旅館などでトコジラミが発生した場合、風評被害による経済的な被害も考えられます。駆除にかかる費用や、駆除のための営業停止期間なども考えると、個人宅での被害よりも、さらに大きな損害があることは間違いないでしょう。
「持ち込まないこと」が一番のトコジラミ対策
もしかしたら部屋のどこかにトコジラミが潜んでいるかもしれないと、不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
家にトコジラミを発生させない一番の方法は、とにかく外出先から持ち帰らないということ。トコジラミは、驚異の繁殖力を持つ害虫です。そのため持ち帰ると一気に大量に繁殖してしまい、駆除にはとても手間がかかります。
特に旅行先でホテルなどの宿泊施設を利用した際は、スーツケースや手荷物、衣類などにトコジラミが潜んでいないかどうかチェックしてから家の中に入るようにしましょう。
また、海外から届いた荷物なども注意が必要です。海外の通販サイトなどで買い物をした際、梱包しているダンボールなどにトコジラミが潜んでいる可能性があります。ダンボールや梱包材にトコジラミが潜んでいないかきちんと確認し、速やかに処分しましょう。
被害を最小限にするにはどうしたら良い?
トコジラミは早期発見、早期駆除が基本です。発見した時にそれほど被害が大きくなかったからといって対応が遅れると、あっという間に被害が広がってしまうことも。被害が広がれば広がるほど、駆除には時間も手間もかかります。
普段から隅々まで掃除をして清潔を保つことはもちろん、トコジラミが好むような暗くて狭い場所はなるべくつくらないようにしておくことが大切です。
最近はスーパートコジラミという、市販の殺虫剤が効きにくいトコジラミも出現しています。またトコジラミは、夜になり人が寝静まっている間に移動します。発見した場所以外の部屋にも被害が及んでいる可能性があるため、できるだけ早く専門知識を持った害虫駆除業者に相談するのがおすすめです。