トコジラミにも天敵はいるが、それで対策するのは難しい
トコジラミのように駆除の難しい害虫に、天敵をぶつけて予防しようというのは合理的な考えです。もちろん、持ち込まないのが一番の対策ですが、平たく小さな体でどこにでも潜り込む虫だけに、人力でチェックするのは現実的ではありません。
敵の敵は友という言葉もあります。トコジラミを捕食する生き物がいれば、それを飼育することで効果的に被害を抑制できるかもしれません。
トコジラミの天敵一覧
日本にいるトコジラミを捕食する生き物としては、主に以下のような種が挙げられます。
種 | 生息場所 |
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スズメバチ | 日本全国の森林や自然環境に広く分布しています。一部の種類は人間の生活空間でも巣を作ることがあります。 |
ハナムグリの幼虫 | 畑や庭、緑地など、地面が直接触れられる場所に広く生息しています。そのため、日本全国で見かけることができます。 |
ハエの幼虫 | 人間の生活空間に密接に関連しているため、日本全国の都市部から田舎まで幅広く見られます。 |
クモ | 日本全国に広く分布しており、山から海、都市部まで様々な環境で生息しています。 |
ヤモリ | 一部の種類は寒冷地には少ないものの、日本全国の温暖な地域、特に住宅地に広く生息しています。 |
ハナムグリはあまり一般的ではないかもしれませんが、カナブンに似たコガネムシ科の昆虫です。トコジラミだけに限って捕食するわけではありませんが、これらの種は肉食で、いずれも天敵と呼ぶに値する働きが期待できます。
虫で虫を予防するのは難しい
いくらトコジラミを捕食するとはいえ、虫で虫を予防するのは現実的ではありません。そもそも生理的嫌悪感を抱かれることの多い虫ばかりですし、スズメバチなどは命に関わる被害をもたらすリスクがあります。
また、想定通りにトコジラミを捕食してくれる保証はなく、むしろ他の問題を引き起こすかもしれません。
鳥や犬、猫もトコジラミは捕食しない
昆虫がダメなら、動物はどうでしょうか。鳥は昆虫を主食としますが、トコジラミは暗く狭い場所を好みます。鳥にとって見つけづらい場所にいるため、容易に捕食できません。犬や猫は基本的に肉食で、昆虫を食べることもありますが特別好みはしません。
一方でトコジラミにとっては、哺乳類は吸血対象です。人間ほどではありませんが、同様に血を吸われて、動物たちが辛い思いをします。ペットに食べてもらうのも、現実的ではないでしょう。
トコジラミの最大の天敵はやはり人類
人間の住環境において、トコジラミの最大の天敵はやはり人類です。事実、トコジラミは一度人の手で絶滅間際まで追い込まれました。しかし、その大きな要因となった殺虫成分の耐性を一部の個体が獲得。再び世界的に被害を拡大しているという背景があります。
市販の殺虫剤(ピレスロイド系の殺虫剤)では効果が望めませんが、有機リン系、カーバメート系の薬剤を有効成分とした殺虫剤であれば駆除は可能です。これらは薬局などで購入する必要があり、手に入れるのが少々大変ですが、天敵を探して予防を図るよりもよほど効果が期待できるはずです。
ただ、下準備なしに自力で対策をすると、個体や卵を見逃してしまい、逆に被害が拡大することも考えられます。専門知識を持った業者(あるいは行政の窓口)に相談するのがベストであり、自力での対策はあくまで非常手段と捉えておくことをおすすめします。