バルサンはノミ・ダニに効果があるのか?専門家の目線から解説
バルサンは1950年代に登場して以降、約半世紀にわたり燻蒸式殺虫剤の代表格として君臨し続けている殺虫剤ブランドです。
もともとは医薬品扱いの製品だけでしたが、その圧倒的知名度から、現在は害虫駆除・忌避に関係する幅広い商品をラインナップ。防除製品の総合ブランドとなっています。
今回は、そんな数ある製品の中でもダニ・ノミに関係の深い燻煙タイプのバルサンに絞って、その効果や選び方、使い方などを解説していきます。
そもそもバルサンはノミ・ダニに効くのか
「バルサンする」という表現があるくらいですから、バルサンの燻煙剤・燻霧剤は、ノミやダニをはじめとする害虫に確かな効果が見込めます。
しかも50年近くにわたる実績があり、効果だけでなく安全性も担保されています。駆除業者などに頼らず、自分で害虫駆除を考える場合には、無難な選択肢であると言えるでしょう。
ただ注意したいのは、選び方や使い方を間違えると、その効果を十分に発揮できないということ。注意書きをよく読まずに使ったばかりに、家具や家電を破損してしまったり、吸引による不快な副作用に煩わされたりしてしまう人も、中には見られます。
ノミやダニの駆除に効果的であり、製品の使い方自体もシンプルではあるのですが、準備と後処理を軽く考えていると思わぬ失敗をする可能性がある、ということは心得ておいてください。
押さえておきたい選び方
バルサンというブランドの下には、数多くの製品がラインナップされています。いざ購入しようと思っても、どれを選んだら良いのか判断に困ってしまう人は少なくないでしょう。
ダニ・ノミの一括駆除に効果的な燻煙タイプに限って言えば、基本は以下の3タイプです。これらの特徴を踏まえ、自身の要望や状況に合った製品を選んでみてください。
煙タイプ
上蓋をマッチの要領で擦って発煙させることから、板すりタイプとも呼ばれる品種です。
強く煙が出るため、広範囲への効果が期待できます。一戸建てに向いたタイプと言えるでしょう。
反面、アパートやマンションなど、限られた間取りの部屋で使うと、威力を持て余してしまう可能性が。どうしても使いたいなら、燻煙タイプの殺虫剤にある程度慣れてからにすることをおすすめします。
水タイプ
水に浸けて煙を発生させるタイプです。
煙タイプよりも駆除力は劣りますが、噴出される煙が少なく、においも残りづらい傾向があります。アパートやマンションといった環境での使用におすすめです。
また、煙が出てくるまでに30秒ほどゆとりがあるため、初めて使う人でも比較的扱いやすいでしょう。
霧タイプ
上記2つと異なり、霧を発生させて殺虫成分を行き渡らせるタイプです。煙も熱も出さないため、煙感知器も熱感器も反応しません。
また、霧はボタンを押し込むだけで発生しますから、扱いも手軽です。
ただ、噴射ガスは可燃性で、使用方法を守らないとガス漏れ警報器が反応してしまう恐れが。また霧は煙よりも粒子が大きく、拡散力がやや劣ります。
赤と黒、そしてオレンジの違い
バルサンには、上記の分類のほかに、色でも種類が分かれています。赤が最も一般的なバルサンで、黒が赤よりもさらに効果を高めたシリーズ。オレンジは、ゴキブリやノミ・ダニ以外の害虫に向いたタイプです。
値段は一見、赤よりも黒の方が安く見えますが、対象となる部屋の広さが違いますので、製品を選ぶときは注意するようにしてください。
ちなみに、タイプが違っても色が同じ製品であれば、薬剤そのものの効果は変わりません。
使い方の注意点
燻煙タイプのバルサンを使うときは、以下の点に十分注意しましょう。
- あらかじめ荷物や家具類を移動し、薬剤が届きにくくなる隙間を無くす
- ノミ・ダニが隠れていそうな押し入れ、引き出し等はすべて開放しておく
- またその際は、荷物を部屋から出さない(出す場合は別途殺虫処理を行う)
- 煙タイプの場合、煙検知器、火災検知器にカバーをする
- 家電製品はビニールシートや新聞紙でカバーする
- 薬剤が室内に充満するよう、窓・換気口は閉めておく
- ペット(魚含む)や植物は外に出す
また、食品・食器・衣類・おもちゃ・寝具等、日常的に肌が触れるものを薬剤に晒してしまうと、間違って口に入ったり、刺激で肌が荒れたりといったことが考えられます。こういったアイテムも、カバーをするか、虫がいないことを確認した上で外に出しておきます。
選ぶ製品によって待ち時間は違いますが、2〜3時間掛かることが多いため、外に出掛ける用事があるタイミングで実施すると良いでしょう。
また、使用後は、薬剤を吸い込まないようにしながらドアや窓を開けて、しっかり換気を行います。
その後は、部屋中に掃除機を掛け、干せるものは天日干しをしましょう。天日干しにした品は、事後に掃除機を掛けるか、クリーニングに出すことをおすすめします。
目には見えなくとも、ノミやダニの死がいが、そのままになっている状態です。薬剤を使って良しとせず、事後処理はしっかり行いましょう。
駆除ではなく予防目的で使うのがベスト
害虫は、家具や内装のどこであっても、行ける場所であればそこに移動して生活します。
“このあたりに居るだろう”という人間の常識からは考えられない場所に潜んでいることも少なくありません。たとえ部屋全体をカバーできる燻煙剤を使っても、被害が起こるレベルまで生息数が増えていると、完全駆除できない場合が多いです。
ダニ・ノミの根絶を第一目的とするのではなく、大掃除をされる際などに、被害が出る前の予防として使用するのがベストでしょう。