駆除が困難な害虫で稲作が困難に?
農作物に深刻な被害を与える害虫。
グローバル化している現在は、日本に昔から生息している害虫だけでなく、海外からやって来る害虫も居ます。
例えばトウモロコシに寄生する「ツマジロクサヨトウ」は、トウモロコシだけでなく稲にも多大な被害を与えると言われています。
今後は日本でも海外からの害虫に対しても警戒し、防衛する必要があるのです。
稲やトウモロコシに被害を与える害虫・ツマジロクサヨトウ
「ツマジロクサヨトウ」は、もともと南北アメリカ原産の害虫です。
既にアメリカなどではトウモロコシやサトウキビ、野菜など80種類以上の農作物に被害を与えており、日本へも令和元年に鹿児島県南九州市で確認されました。
ツマジロクサヨトウは長距離飛翔が可能な虫で、1晩で最大100キロの距離を移動する事が出来ます。
海外の国から日本への飛来は、防ぎようのない事なのです。
とはいえ防衛は必須ですから、農林水産省ではツマジロクサヨトウに効果のある農薬を使って防除するよう、蔓延防止に向けて対策を取っています。
カブ、サトウキビ、キュウリ、トマト、大豆なども被害に
ツマジロクサヨトウは広く世界中に生息しているため、防衛が非常に難しいのが現状です。
日本ではまだ大規模な繁殖は報告されていませんが、南米から北米にかけてはもちろん、エジプトはサハラ以南のアフリカ諸国、インドやタイ、ミャンマー、中国、台湾、韓国でも既に分布が確認されています。
被害を与えるのは主に幼虫で、植物・農作物の葉や茎、花、果実を食べ尽くしてしまいます。
農作物の種類で言うと、カブなどのアブラナ科やトウモロコシ、サトウキビ、稲等のイネ科にも寄生。
農作物の葉の裏側から幼虫が集団になって食べてしまう為、被害は甚大です。
またキュウリ等のウリ科植物や、トマト・ナスのナス科、大豆のマメ科も被害の対象になります。
このまま日本中に分布が拡大すると、大変な事態になりかねない害虫なのです。
海外からの害虫に対する防衛意識を高める必要がある
政府は専門家の意見を聞いて、ツマジロクサヨトウに効果のある農薬の一覧表を作成し、防除マニュアルを策定。
農家へ速やかな情報提供を行うと同時に、薬剤の購入費を支援する事を決め、国内の農作物への被害を軽減する支援策を展開しています。
このような農作物への害虫は一般家庭の生活にすぐ関わる事ではありませんが、長い目で見れば野菜の価格上昇が起きる等の悪影響が予測されます。
家庭においても、海外からの害虫に対する防衛意識を高める必要があるのです。