なにをどうすべきか?オフィス消毒の主な流れ
オフィスで働く従業員の中から新型コロナウイルス感染症患者が出てしまった場合は、その場の管理者が消毒を実施することとなります。
とはいえ、いきなり消毒と言われても、何をどうすべきか、判断に困ってしまうケースも少なくないはず。本ページでは、オフィスの消毒にかんする大まかな流れを、順を追って解説してみたいと思います。
オフィスの消毒に至るまで
新型コロナウイルスへの感染が確定すると、診断した医師が保健所に届出を出し、そこから患者に対する聞き取り調査が行われます。体調により、本人が対応できないときは、身近な関係者が聞き込みに応じることもあります。
保健所は、患者から集めた発症前後の行動・施設の利用情報をもとに、感染が拡大するリスクのある場所に連絡をします。オフィスのように滞在時間が長い施設は、多くの場合、このタイミングで連絡を受けることになります。
内容は、オフィス内での患者の行動の裏付けと、新型コロナウイルス感染症の症状を示す人がほかにいないかどうかの確認、関係者の経過観察に関する指導などです。
ここで得た情報をもとに、管轄の保健所長がオフィスの消毒の要否を判断します。判断の基準となるのは、例えば以下のような項目です。
- オフィスでの滞在時間が長く、移動も多い
- 発症後に滞在していた
- 従業員の中に、他にも感染者が出ている
消毒が必要と判断された場合は、保健所の指導のもと、オフィス管理者が消毒を実施することとなります。
なお、仮に保健所が消毒不要と判断した場合でも、自主的に消毒を行いたい旨を申し出れば、保健所の職員から指導してもらうことは可能です。
消毒方法の選定
オフィスの消毒は、オフィスのスタッフが行っても、専門業者に依頼しても、どちらでも構いません。万全を期すなら、消毒業者に依頼するのが無難でしょう。自分で探すことが難しければ、保健所に尋ねれば消毒業者の情報を共有してもらうことができます。
ただ、業者により対応スピードや料金が異なります。オフィスの稼働を中断するのが難しければ、自分たちで即日対応の業者を探すのがスムーズでしょう。逆にある程度の猶予があれば、相見積もりをとって費用対効果が高いところに依頼するのも一つの方法です。
消毒にかかる費用は自己負担ですが、補助金や助成金を用意している自治体がほとんどです。消毒業者を利用する場合は納税地の役所窓口に交付要件などを確認されることをおすすめします。
消毒を自社で実施する場合は、保健所の指導を受けながら必要箇所を順次消毒していきます。
消毒の実施(自社で行う場合)
消毒を実施する際は、まず必要なものを準備します。具体的には、以下のようなものです。
- 消毒液(次亜塩素酸ナトリウム、またはアルコール濃度70%以上の消毒用エタノール)
- ペーパータオル(または使い捨ての布)
- ゴミ袋(2枚)
- マスク
- ゴム手袋
消毒に使う場合、次亜塩素酸ナトリウムは0.05%に薄めます。薄め方は製品によりますが、1リットルあたりにキャップ1杯(あるいは1/2杯)としているものが多いです。
主な次亜塩素酸ナトリウム製品ごとの作り方
メーカー 商品名 作り方の例 花王 ハイター
キッチンハイター水1Lに本商品25mL(商品付属のキャップ1杯)※次亜塩素酸ナトリウムは、一般的にゆっくりと分解し、濃度が低下していきます。購入から3ヶ月以内の場合は、水1Lに本商品10ml(商品 付属のキャップ1/2杯)が目安です。 カネヨ石鹸 カネヨブリーチ
カネヨキッチンブリーチ水1Lに本商品10mL(商品付属のキャップ1/2杯) ミツエイ ブリーチ
キッチンブリーチ水1Lに本商品10mL(商品付属のキャップ1/2杯) イオングループ(トップバリュ) キッチン用漂白剤 水1Lに本商品10mL(商品付属のキャップ1/2杯) 西友/サニー/リヴィン(きほんのき) 台所用漂白剤 水1Lに本商品12mL(商品付属のキャップ1/2杯) セブン&アイ・ホールディングス(セブンプレミアムライフスタイル) キッチンブリーチ 水1Lに本商品10mL(商品付属のキャップ1/2杯)
引用元:身のまわりを清潔にしましょう。
消毒方法
消毒は、感染者が触れた箇所を中心に行います。エレベーターやオートロック、コピー機などのボタン、建物出入口のドアノブやハンドル、電話機、給水場所の蛇口、トイレなど、考えられる場所はすべて消毒しましょう。
手順は簡単で、ペーパータオルに消毒液を染み込ませて拭い、10分ほど乾かしたら水拭きをするだけです。
消毒の際は、感染対策のために換気を十分に行い、マスクと手袋の装着も怠らないようにしましょう。消毒に使ったペーパータオルは、二重にしたゴミ袋に入れていきます。すべての箇所の消毒が終了したら、マスクと手袋もゴミ袋に入れて、しっかりと密閉した上で処分します。
作業後は、手洗い、うがいを入念に行って終了です。
注意したい次亜塩素酸ナトリウム水溶液のリスク
次亜塩素酸ナトリウムは、塩素系の殺菌剤です。強アルカリ性であり、肌に付着すると火傷するリスクがあります。
殺菌には効果が見込めますが、手指の消毒には絶対に使わないよう気をつけてください。
また、腐食作用があるため、金属にも使用しないようにしましょう。
よく言われることですが、塩素系と酸素系の薬剤を混ぜると、毒性の強い塩素ガスが発生します。目や口、鼻などの粘膜を破壊するほか、頭痛・めまい・吐き気などを引き起こすリスクが。ガスの濃度によっては命に危険が及ぶ可能性もあるため、扱いには重々注意する必要があります。
次亜塩素酸ナトリウムの毒性に不安があれば、安全で使い勝手がよい次亜塩素酸水を使うのもおすすめです。次亜塩素酸水を精製できるキットなども市販されていて、知識がなくとも扱いやすいはずです。