消毒は有効か?オミクロン株に対してやるべきこと
2021年11月24日、WHOが南アフリカで新たに確認されたSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の変異株をWHOオミクロン株と名付け、「懸念される変異株」に指定しました。
オミクロン株のスパイクたんぱく質には、基準株と比べて32カ所もの変異が見られます。これは2021年12月現在、過去に確認された変異ウイルスの中で最も多く、また同株の感染者数が海外で急増していることから、今後日本国内での拡大が不安視されています。
まだわからないことの多いオミクロン株ですが、本記事では専門家の意見を参考に、現時点で私たちが取るべき感染対策についてまとめました。
消毒を含め、基本的な対策は従来の新型コロナウイルスと同じ
南アフリカでは、流行している株があっという間にデルタ株からオミクロン株に置き換わりました。過大評価の可能性も残されていますが、オミクロン株の伝播性は相当高いことが見込まれています。メディアでも、危機感を煽る表現が多く見られます。
専門知識がないと既存の対策に加えて、何か特別なことをした方が良いのではないか、と思えてしまいますよね。
しかし、専門家の多くは、オミクロン株でもやるべきことは変わらない、基本的な感染対策を忠実に守るべきだとアナウンスしています。
オミクロン株が出現したとしても、私たちにできる感染対策は変わりません。
手洗いや3つの密を避ける、マスクを着用するなどの感染対策をこれまで通りしっかりと続けることが重要です。
また、ワクチンはオミクロン株に対しても有効である可能性が高く、今後予定されているブースター接種についても時期が来ればぜひご検討ください。
引用元:新型コロナ「オミクロン株」 感染しても重症化しにくいって本当?現時点で分かっていること(忽那賢志)
過度に恐れる必要はありません。これまで同様、マスクの正しい着用、手洗い、うがい、三密の回避、換気といった基本的な感染予防対策の徹底、そしてワクチンの接種により、オミクロン株でも感染を十分防ぐことや重症化を予防することができると思います。
個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨される。
引用元:SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第4報)
また、感染者が出た施設の対策も同様です。
感染者が出た施設の消毒
感染者が出た施設で、保健所の指示があった場合は、その管理事業者が自己負担で消毒を実施します(各自治体に補助制度が設けられているため、全額ではありません)。
消毒方法としては、主に以下のようなものが考えられます。
消毒方法の種類 | 具体的なやり方 |
---|---|
熱水 | 80度の熱水に10分間さらす 主な消毒対象:食器、箸など |
塩素系漂白剤 (次亜塩素酸ナトリウム) |
市販の漂白剤を0.05%に薄めて拭き、その後水拭きする 主な消毒対象:食器、箸など |
洗剤(界面活性剤) | 有効な家庭用洗剤の成分(参考:ポスター「ご家庭にある洗剤を使って身近な物の消毒をしましょう」)が含まれた家庭用洗剤で、対象物を拭う 主な消毒対象:食器、箸など |
次亜塩素酸水 | 汚れを落とした後、有効塩素濃度80ppm以上(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かした製品の場合は100ppm以上)の次亜塩素酸水で十分に濡らす。その後、清潔な布や紙で拭き取る。 |
アルコール | 濃度70%以上95%以下のエタノールを用いて対象物を拭き取る(引火性があるため空間への噴霧は厳禁)。 |
亜塩素酸水 | 遊離塩素濃度25ppm(25mg/L)以上の亜塩素酸水をペーパータオル等に染み込ませてから対象物を拭き、数分間置く。その後、拭き取って乾燥させる。 汚物がある場合、まず固形物を拭き取り、その場所に100ppm以上の亜塩素酸水を撒き、同様の手順で乾燥させる。 |
消毒自体ができれば、自社スタッフが対応しても問題はありません。ただ備品の準備や実施に相応の手間や知識が求められるため、不安があるなら専門の消毒・清掃事業者に委託するのが無難です。
感染者と同じ空間にいた場合は検査が推奨
従来の新型コロナウイルスは、例え感染者と同じ空間にいたとしても、マスクの有無や接触時間等が濃厚接触者の基準として考慮されていました。
しかしオミクロン株の場合、どれほどの感染力を持つのか、まだ十分な知見が得られていません。香港では、同じホテルに隔離中だった無症状のオミクロン株感染者が、ごく僅かな接触で他者に感染させた疑いのあるケースも見られ、楽観的な予断を許さない状況です。
そのため国立感染症や厚生労働省は、オミクロン株感染者と空間を共有した場合、条件を問わず検査を受けることを推奨しています。
オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間にかかわらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが望ましい。
引用元:SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第4報)
水際対策と並行して、検疫及び国内での変異検出PCR及びゲノムサーベイランスによる監視を引き続き行う必要がある。現時点で、感染・伝播性についてのエビデンスは十分でないため、オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間にかかわらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが望ましい
引用元:新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応 – 厚生労働省
もし感染者と同じ空間にいた事実が確認されたら、速やかに各都道府県が開設している帰国者・接触者相談センター(厚生労働省HP)に問い合わせるようにしましょう。