消毒液の空間噴霧はOK?正しい空気中のウイルス対策
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、以前よりも除菌や消毒に力を入れる人が増えていることは言うまでもありません。
除菌・消毒をうたった製品も増え、本当に効果があるのか、効果的な使い方ができているのか不安に感じている人も多いのではないでしょうか。今回は、消毒液の空間噴霧に着目してご紹介します。
消毒液は空間噴霧をしても良いの?
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症の消毒に関する見解の中で、室内空間において、日常的に物品等の表面に対する消毒剤の噴霧や燻蒸をすることは推奨されない、としています。
また、「屋外であっても消毒剤の噴霧は人の健康に有害となり得る」、「人体に対して消毒剤を噴霧することはいかなる状況であっても推奨されない」とも発表しています。
これらの国際的な知見をもとに、厚生労働省も消毒剤の空間噴霧は推奨していません。ウイルス感染力を滅失させる効果が保証されていないだけでなく、人の目や皮膚に付着する、吸い込むなどの恐れがあるためです。
消毒剤はもちろん、除菌効果のみをうたっている製品に関しても、健康に影響の恐れがあるかどうかについては、各製品の使用方法や注意事項を確認した上で、消費者自身の判断が必要です。
しかし2022年3月現在、品質や有効性、安全性が確認され、空間噴霧用の消毒剤として認証を得ている医薬品や医薬部外品はありません。そのため現段階では、消毒・除菌剤の空間噴霧は避けるべきと考えておくと良いでしょう。
手指消毒などに使われるアルコール消毒液は、引火の可能性があるため、絶対に空間噴霧はしないでください。
モノの消毒などに使われる次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、目や皮膚に付着したり、吸引したりすると危険なため、空間噴霧はしてはいけません。
携帯型の空間除菌グッズは効果があるの?
ドラッグストアなどで、感染予防を謳う商品が増えている中、身につけるだけで空間が除菌できる製品が話題となりました。二酸化塩素を空気中に放出することで、ウイルスを不活性化させるというものです。
しかし消費者庁は、首かけタイプの除菌グッズに対して、注意喚起を行っています。その理由は、それらの商品が謳っている効果の根拠が、狭い密閉空間で行われた実験結果によるものであるため。つまり、使用する環境によっては、表示されている通りの効果が得られない可能性があるということです。
また、携帯型の空間除菌用品を販売する事業者5社に対して、一般消費者が効果について誤認する恐れがあると、行政指導を行ったことも発表しています。さらに国民生活センターは、首から下げるタイプの除菌用品について、二酸化塩素による科学やけどが起こる可能性があると指摘しています。
これらの情報を鑑みると、携帯型の空間除菌グッズは、効果がないとは言い切れませんが、積極的な使用は控えた方が良いかもしれません。
参考:携帯型の空間除菌用品の販売事業者5社に対する行政指導について
正しい空気中のウイルス対策
空気中のウイルス対策として最も効果的なのは、こまめな換気です。窓やドアを開けて部屋の空気を入れ替えましょう。
風の流れができるように、2方向の窓を開けるようにしてください。窓が一箇所しかない場合は、ドアを開けます。換気の頻度は、1時間に2回以上。1回数分程度窓やドアを開け放して行います。
最近は換気機能がついたエアコンも増えていますが、そうでない、一般的な家庭用エアコンには換気の機能はありません。
そのため冷房や暖房をつけている時でも、定期的な換気が必要です。ちなみに、換気中もエアコンはつけっぱなしにしておいた方が消費電力が抑えられるため、一度電源を落としたり、設定温度を変えたりする必要はありません。