日本で感染拡大が懸念されるBA.2.75株とは
オミクロン株BA.5系統を主とする第7波に少しずつ収束の兆しが見え始めていますが、早くも次の変異株による第8波が懸念されています。
その変異株とは、ケンタウロスとも呼ばれるBA.2.75。この記事では、従来のオミクロン株よりも感染性が高いとされるこの変異株の概要をわかりやすく紹介します。
感染拡大が懸念されるBA.2.75株とは
BA.2.25株は、BA.5系統の前に流行していたBA.2から変異した株です。2022年5月にインドで初めて確認されて、以降もインドで大きな流行を引き起こしました。
当時、インドでは現在の日本と同じようにBA.5系統の感染者が増えている最中だったとのことです。そのため今後日本でも、BA.5からBA.2.25に置き換わりが進むのではないかと懸念されています。
7月時点では従来株より感染力が3.24倍強いとされていた
情報が少なかった当初、アメリカの研究者が発表したデータに基づき、BA.2.75の感染力は従来のオミクロン株BA.5の3.24倍強いとされていました。
ただ8月に京都大学の西浦教授らのグループが発表した分析によると、1.14倍と大きく数字が異なっています。
BA.5からBA.2.75への置き換わりが進んでいることは間違いなく、油断はできません。ただ、当初懸念された爆発的な感染拡大ではなく、緩やかに置き換わっていくのではないかというのが現在の主流の見方です。
BA.5に感染していてもB.2.75には感染する
前述のように、B.2.75株はケンタロスとも呼ばれています。
ケンタウロスは、ギリシャ神話に出てくる半人半獣で、人間の上半身に馬の下半身がくっついたような姿をしています。
これまでの株に比べてスパイクタンパクの変異が多く、その異質さからSNSでケンタウロスと呼ばれるようになったことが経緯としてあるようです。
さておき、その変異の多さのためか、ワクチン由来の抗体、あるいは従来株への感染により獲得した抗体を回避することが懸念されており、マウスを使った実験でも中和抗体の働きが12分の1に下がったというデータが確認されています。
つまり、短期間に別の株によって新型コロナウイルスに感染する人が、これまで以上に増えてくる可能性があります。
自分は一度感染したから、ワクチンを打ったから大丈夫、という過信はくれぐれもしないことが賢明と言えるでしょう。
重症化率に変化はない
B.2.75株は変異が多く、免疫をすり抜ける力が強い一方で、重症化率の大きな変化は現在までのところ確認されていません。
基礎疾患がない限り、命に関わる事態に発展する可能性は低いですが、新型コロナウイルスの後遺症(倦怠感や味覚・嗅覚障害など)に悩む人は増え続けています。
また、流行が続くことで医療体制の逼迫や社会経済活動の停滞による直接的・間接的な影響を少なからず受けることになります。
当事者意識を持って、感染対策を徹底することが肝要です。
大切なことはマスク・換気・手洗い・テレワーク
BA.2.75も、これまでのオミクロン株と同様に飛沫感染や接触感染で感染します。
したがって、密閉・密集・密接の回避、屋内でのマスク着用、手洗い・うがいという基本的な感染対策が非常に有効です。
また、やはり会食や外食による感染拡大が多いことから、大人数での食事は避けた方が無難です。昨今は個別にパーテーションを用意する飲食店も増えていますから、あらかじめてお店の感染対策をチェックしてから足を運ぶのも一つの方法です。
いずれにせよ、小さな心掛けが感染リスクを下げることにつながります。全員で少しずつ我慢して、危機的状況を乗り切りましょう。